本当に大切なのは
自分のさまざまな思考や欲望や本能と戦わないことだ
なぜならば、それは否定的(ネガティブ)であって
否定的(ネガティブ)なものは助けにならないからだ
本当に大切なのは
気づきにおいて、瞑想において成長することだ
そうしたとき、人はいかなる戦いもなく勝利を手にすることができる
そして、葛藤を通しての勝利など本物の勝利ではない
いちど抑圧されたものは
くり返しくり返し抑圧されねばならないだろう
葛藤を通して葛藤に終止符を打つことはできないし
戦いはより多くの戦いを呼ぶだけにすぎない
しかし
どんな葛藤も、戦いも、抑圧のない勝利がひとつある
その勝利は、気づきにおける肯定的な(ポジティブ)な成長から来るものだ
自分自身と闘わないこと
気づきと理解と沈黙において成長してゆきなさい
すると、否定的(ネガティブ)で病んだものはすべて
ひとりでにしぼんでしまうだろう鈴木大拙がこんな話を紹介しているーー
紀渻子(きせいし)が皇帝のために一羽の闘鶏を飼育することになった
10日たつと皇帝はたずねた
「もうよいか?」
紀は答えた
「いいえ、まだでございましょう
やつは、まだまだ虚勢ばかりで、猛り狂っております」
もう10日たって、皇太子がその鶏のことをたずねると
紀は答えた
「まだでございましょう
やつは他の鶏の影を見たり、鳴き声を聞いたりしようものなら
警戒心を高ぶらせております」
また10日たって、皇太子から問い合わせが来ると
紀は答えた
「いまひとつでございましょう
やつの闘争心はまだ内側で、覚まされようとくすぶっております」
やつの闘争心はまだ内側で、覚まされようとくすぶっております」
それから10日すぎると、
紀は問い合わせの返事にこう答えた
「ほぼ用意がととのいました
いまでは他の鶏の鳴き声を聞いても
何ひとつ興奮を見せません
やつはもう肯定的(ポジティブ)になったのです
やつは微妙な内なる気づきを発達させました
今では木彫りの鶏のように
じつにおとなしく、静かです
やつの素質は完成されました
やつにかなう鶏はおりませんし
勝つのに闘う必要もないでしょう
他の鶏どもは一目散に逃げだすでしょうから
もうまともにやつと対戦できないのです」
そして、それは本当にそのとおりだった
その鶏はまったく戦わずして勝利を重ねたのだ
そして、あなたも自分自身に同じことができる
紀渻子の鶏からその秘密を学ぶがいい!
【関連する記事】